劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明の考察~多層的対比構造がもたらす奥行きを堪能
いやー、日本でしか生まれようのない傑作アニメ映画でした。
皆さんぜひこの劇場映画は観てみてください!
奥行きのある映像美と幻想的音楽、頭脳戦要素を伴う素晴らしいバトルアニメーション、自己犠牲を厭わず仲間を助ける人物関係、未知の世界への飽くなき探険心など、魅力要素が幾重にも絡み合う素晴らしい作品となっています。
こんな可愛らしさとR-15のグロさを同居させて、重厚な世界観とストーリーを描くのはとても日本らしいと思いましたね。
鑑賞後に少し考えてみて思ったのは「対立構造」の活かし方がうまいということです。
そこで6つの対立構造についてネタバレになり過ぎない範囲でご紹介します。
2017年にアニメ放送が開始された時、少し敬遠していたんですよね。
一見子供向けかと思うようなあの幼児的キャラクター造形のせいです。
しかし作品世界を知ると、この可愛さがないとグロさとストーリーの重厚さで押しつぶされてしまうことからあえてこうしていることがわかってきます。
これはあの壮絶なペリリュー島の戦いを描いた戦争漫画「ペリリュー 楽園のゲルニカ」と同様のアプローチですね。
多くの冒険物語は横(他国)や上(空や宇宙)や斜め(別次元)に旅立つ展開が多いですが、この作品の冒険先はアビスという直径約1000メートルの深い穴です。
地下に潜って探険をする作品も多いですが、本作品がユニークなのは下層にいくほど遺物という宝物を得られる反面、元の世界に戻ろうと上昇すると、「アビスの呪い」と呼ばれる特有の現象により、人体に深刻なダメージを受ける点です。
深い渓谷と木々、一面に広がる野原、そこに住まう多様なファンタジックな生物はきめ細かく描かれており、見ているだけで心がなごみます。
心が和らいで油断していると、今度は地獄のような人体裂傷・破壊表現が待ち受けています。
耐性のない方は注意した方がいいレベルです。
特にアビスの呪いにより人体が損傷していく様は本当に痛々しい。。
ボンボルドは科学者としてのアビスの底への探究心は尊敬すべき実績をあげており、通常会話でも穏やかな紳士です。
しかし問題はその探究心が常に第一優先であり、他人への痛みや基本的モラルなどは一切考慮しない人間性であるところです。
我が娘の人体破壊も探求のためなら全く意を介さないというレベルで、完全にたがが外れています。
いわゆる反社会的パーソナリティ障害(サイコパス)の変形・拡張版といった趣です。
この対をなす二人はアビスの探険に必要な能力も補完し合っており、お互い助け合う姿は心温まるものがあります。
安心して見ていられる人間関係です。
リコの怪我から二人の探険に合流することになったナナチにも、孤児仲間のミーティという女の子の友達がいました。
しかしボンボルドの狂気の人体実験により、アビスの上昇過程で理性を失い人間の原形を失った成れ果てになってしまったのがミーティなのです。
映画の後半、ナナチのメンタルに思いを馳せるといたたまれない気持ちになっていきます。
アニメ2期、劇場映画続編も予定されているようで、まだまだ楽しませてくれそうです。
皆さんぜひこの劇場映画は観てみてください!
奥行きのある映像美と幻想的音楽、頭脳戦要素を伴う素晴らしいバトルアニメーション、自己犠牲を厭わず仲間を助ける人物関係、未知の世界への飽くなき探険心など、魅力要素が幾重にも絡み合う素晴らしい作品となっています。
こんな可愛らしさとR-15のグロさを同居させて、重厚な世界観とストーリーを描くのはとても日本らしいと思いましたね。
鑑賞後に少し考えてみて思ったのは「対立構造」の活かし方がうまいということです。
そこで6つの対立構造についてネタバレになり過ぎない範囲でご紹介します。
かわいい幼児的キャラクター造形VS奥深い世界観と重厚なストーリー
2017年にアニメ放送が開始された時、少し敬遠していたんですよね。
一見子供向けかと思うようなあの幼児的キャラクター造形のせいです。
しかし作品世界を知ると、この可愛さがないとグロさとストーリーの重厚さで押しつぶされてしまうことからあえてこうしていることがわかってきます。
これはあの壮絶なペリリュー島の戦いを描いた戦争漫画「ペリリュー 楽園のゲルニカ」と同様のアプローチですね。
遺物の眠る深層へのダイブとアビスの呪いを伴う上昇
多くの冒険物語は横(他国)や上(空や宇宙)や斜め(別次元)に旅立つ展開が多いですが、この作品の冒険先はアビスという直径約1000メートルの深い穴です。
地下に潜って探険をする作品も多いですが、本作品がユニークなのは下層にいくほど遺物という宝物を得られる反面、元の世界に戻ろうと上昇すると、「アビスの呪い」と呼ばれる特有の現象により、人体に深刻なダメージを受ける点です。
奥行きのある美しい幻想的風景映像VS人体破壊のグロい描写
深い渓谷と木々、一面に広がる野原、そこに住まう多様なファンタジックな生物はきめ細かく描かれており、見ているだけで心がなごみます。
心が和らいで油断していると、今度は地獄のような人体裂傷・破壊表現が待ち受けています。
耐性のない方は注意した方がいいレベルです。
特にアビスの呪いにより人体が損傷していく様は本当に痛々しい。。
ボンボルドの非人道的残虐行動VS礼儀正しさとアビスの謎への飽くなき探究心
ボンボルドは科学者としてのアビスの底への探究心は尊敬すべき実績をあげており、通常会話でも穏やかな紳士です。
しかし問題はその探究心が常に第一優先であり、他人への痛みや基本的モラルなどは一切考慮しない人間性であるところです。
我が娘の人体破壊も探求のためなら全く意を介さないというレベルで、完全にたがが外れています。
いわゆる反社会的パーソナリティ障害(サイコパス)の変形・拡張版といった趣です。
頭脳に秀でたリコVS圧倒的肉体耐久力をもつレグ
この対をなす二人はアビスの探険に必要な能力も補完し合っており、お互い助け合う姿は心温まるものがあります。
安心して見ていられる人間関係です。
ボンボルドの実験により獣の姿になったナナチと理性を失い肉塊となったミーティ
リコの怪我から二人の探険に合流することになったナナチにも、孤児仲間のミーティという女の子の友達がいました。
しかしボンボルドの狂気の人体実験により、アビスの上昇過程で理性を失い人間の原形を失った成れ果てになってしまったのがミーティなのです。
映画の後半、ナナチのメンタルに思いを馳せるといたたまれない気持ちになっていきます。
アニメ2期、劇場映画続編も予定されているようで、まだまだ楽しませてくれそうです。
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