異世界おじさん2巻までの感想と考察~既存の概念と目の前で起こるズレを楽しむ

この何ともシンプルで興味惹かれる作品名!

9784040653686.jpg

現実と異世界が交錯するというベタでわかりやすい設定をもとに、主人公とそのストーリーラインを逆張りでずらしまくり、YouTuber、VTuber、ホログラム、ゲーム機やその著名作品などの現代的ネタに、エロスという定番ネタを絶妙にブレンドして笑い(ギャグ)につなげた、クソ面白い作品です。

笑いの本質とは



笑いって、頭の中にある既存の概念と目の前で起こることに大きなズレが生じた時に起こりますよね。

わかりやすい例でいうと、著名人のショーを見にいって、幕が開けたら予想だにしないふざけた格好で当の本人が登場したら、思わず笑ってしまう場合です。

そのズレが自分の身に危険をもたらすものであれば「恐怖」を感じます。

その典型例が、事故に突然遭遇した時やお化け屋敷に入った時などですね。

ズレが美や普遍的真理に起因するものであれば「感動」となりますね。

アートや「タイタニック」などの感動大作映画を初めて観た時です。

「恐怖」や「感動」と違って「笑い」が生じるのは、ズレが既存の予想される概念に対して、阿呆らしい事象や失敗といえる事象が発生した時といえるのではないでしょうか。

「異世界おじさん」で笑いが起こる箇所のズレを考察



では本作品の笑いが起こる箇所でどんなズレと失敗が発生しているのかを考察してみましょう。

世界設定がわかる1巻2話までのズレ



異世界転生って、漫画・ラノベ・アニメの鉄板な世界観ですよね。

そこで登場する主人公は大抵勇気のある美少年です。

ストーリーとしては何かをきっかけに、満たされないこちらの現実から異世界に行き、特殊能力をもとに、人々との出会いや支援者からのサポートで大きく成長し、最後にこちらの現実に再び帰還するというものです。

ところが本作品での主人公は冴えないおっさんなわけです。

異世界ではその醜い容姿から「オーク」扱いされます。

ここがもう大きな既存の概念とのズレなわけですよね。

異世界にいったら美しい姿に変身して大活躍するんじゃないのかよ!悲惨なオーク扱いで虐げられちゃうのかよ!と、クスっとさせられてしまいます。

まさに阿呆らしい失敗というズレそのものなわけですw

ストーリーラインや作品舞台も逆張りですね。

テンプレ作品のように、現実から抜け出した異世界がメインストーリーとして描かれるわけではありません。

トラックにはねられことによる17年間の昏睡状態から帰還後の現実がメインストーリーの舞台で、昏睡状態の時にいた異世界を回想するというストーリーラインになっています。

ここでも脳内認識のズレとして、異世界の回想がことごとく虐げられた失敗の連続なので笑ってしまうのです。

異世界で美女と出会うのはテンプレ作品と同じなのですが、協力・恋愛関係になっていくのでなく、次のような現代のいじめのような言葉を投げつけられるという展開なのです。

あんたみたいなオーク顔と一緒にいて吐かないでいてあげられるのはあたしぐらいなものね


いやー、笑ってしまいますね。

5話・おまけ話の異世界ツンデレキャラとの恋バナやエロスネタでのズレ



5話にて甥のたかふみから恋バナはないかと聞かれたこのおじさん。

異世界でゴブリンに襲われた後、倒れているところをツンデレキャラに助けられ、大きな借りは作りたくないと希少な天星石の指輪をツンデレさんの指にはめようとします。

ツンデレさんは嫌がりつつもまんざらでもない表情を浮かべ、読者にこれは恋の成就か!と期待をもたせられるわけですね。

ここで当然オチが待っており、典型的な笑いを誘います。


さらに1巻最後の「おまけ」話では、異世界でおじさんがツンデレキャラに貸したパーカーを返してもらうシーンが描かれます。

ツンデレさんはがめつく返そうとしません。

そこでおじさんは、得意の魔法を使ってツンデレさんの両手を開いたまま壁に固定するのです。

そうすることでパーカーを脱がそうとするわけですが、両手首を魔法で固定してしまったので、袖口から手を引っ張ることができなくなります。

このおじさん、一瞬だけ魔法を解除すれば、パーカーの袖口から手を通すことができると安直に考えて実行にうつすわけです。。

その直後、強烈な右フックがおじさんの顔面をとらえる大きなコマが登場するわけですよ。

女性をベッドに縛り付け、服を脱がそうとするシーンで読者の緊張を誘い、右フックという強烈なズレで笑いをとっているわけですね。

2巻でも続くエロス×笑いネタ



ホログラムで過去の異世界でのおじさんの行動をみているたかふみと藤宮さんが登場します。

おじさんはツンデレをこう言って誘うシーンが登場します。

なあこれから暇か?宿屋に部屋をとってあるんだ ・・・来ないか?


笑いを誘うからには期待したようにはならない、別の展開が待ち受けているわけですw


似たような展開は13話でも登場します。

今度はメイベルという美少女キャラ相手になります。

メイベルが寝ている間に指輪をはめ、こう語りかけるのです。

君の食い扶持を奪ってしまった俺なりの責任の取り方だ 受け取ってくれ


読者は一度免疫ができているので、おおよそオチの展開が見えている中での微妙なずらしが待っています。

どうなるかわかりそうでいて少しずらされることで、余計に笑いを増幅させられてしまうといわけです。

こんな調子であるあるネタの中に様々なズラしのネタが展開していきます。

思わず吹き出すレベルの漫画に久々に出会えてうれしいです。


関連記事

Comments 0

Leave a reply