アリータ: バトル・エンジェルの感想~目、アクション、恋愛と親子愛、サイボーグ、格差
「ようやく時間がとれたので映画だ!」ということでチョイスしたのがこのアリータ: バトル・エンジェル。

日本のSF漫画「銃夢(ガンム)」のハリウッド映画化作品という観点での選択です。
あらすじや設定などは既に各所で語られているので、自分が印象に残った点をまとめます。
これから劇場に行かれる方は参考にしてみてください。
原作は未読で映画の予備知識もほぼゼロで視聴したのですが、最初に印象づけられたのは、やはりアリ―タの目の大きさと表情の自然さでした。
原作を再現したということと、瓦礫の中から拾われた直後の意識や記憶のない状態から自分の宿命、愛に目覚めていく過程で真実を見極める目の役割の重要性を訴えているように感じられました。
見終わった後は表情の自然さとともに目の違和感がすっかり消えていることに気づきますよ。
リアルの人間の表情の動きまで細かにセンシングして取り込んだ全身を使ったCGバトルアクションはとにかく見ごたえがあります。
映画全体の1/3ぐらいはアリ―タのバトルアクションシーンで占めているのではないでしょうか。
こちらにそのメイキング映像があります。
実写の他の人物の中に自然に溶け込んでおり、この映画で最も見るべき点だったと思います。
アリ―タが戦士としての記憶を取り戻し、ヒューゴに恋心をいだきつつ成長していく姿がメインストーリーとして描かれています。
一方個人病院を営むハンター・ウォリアーであるイドは、亡くした娘の姿をアリ―タに重ね、実の娘のように愛情を注いでいる姿がメインストーリーと並行して展開していきます。
この映画が今一つブレーク仕切れていない点は、このプロットの今一つ感に由来するものだと思いました。
アリ―タ、ヒューゴ両キャラクターの恋愛に対する動機が薄いので、感情移入できません。
一方、イドの視点で見ても、アリ―タのことを心配している姿を描いているだけで、展開に特別の深みがありません。
ちょっともったいない気がしました。
アリ―タを含め頭(脳)や主要臓器以外の肉体は機械であるキャラクターがディストピア世界の中で多数登場します。
特にアリ―タは上述の通り表情やアクション、感情の動きが非常にリアルで、本物の人間と比べて何ら違和感がありません。
肉体のないキャラクターにこれまでも人間以上の愛情を注いできている僕たちにとって、こうした肉体がロボット化した姿というのはそのうち当たり前のとして受け入れられていくのだろうと思いました。
たった2時間の映画の前後でアリ―タの目の大きさの違和感が消えていることからも、僕たちの脳はそのうち自然なものと認識していくのではないでしょうか。
本能だけではなく、脳の巨大な幻想空間を構築した人間にとって、こうしたヒエラルキーは避けれられないようです。
それが人間たらしめているわけですから。
しかし、アリ―タやヒューゴのようにそのヒエラルキーに甘んじているだけではない存在がいるのも人間です。
どちらの世界でどう生きるかは、各個人の選択にかかっているわけです。

日本のSF漫画「銃夢(ガンム)」のハリウッド映画化作品という観点での選択です。
あらすじや設定などは既に各所で語られているので、自分が印象に残った点をまとめます。
これから劇場に行かれる方は参考にしてみてください。
アリ―タの大きな目はどうなの?
原作は未読で映画の予備知識もほぼゼロで視聴したのですが、最初に印象づけられたのは、やはりアリ―タの目の大きさと表情の自然さでした。
原作を再現したということと、瓦礫の中から拾われた直後の意識や記憶のない状態から自分の宿命、愛に目覚めていく過程で真実を見極める目の役割の重要性を訴えているように感じられました。
見終わった後は表情の自然さとともに目の違和感がすっかり消えていることに気づきますよ。
パフォーマンスキャプチャーによる豊かな表情と圧巻のバトルアクション
リアルの人間の表情の動きまで細かにセンシングして取り込んだ全身を使ったCGバトルアクションはとにかく見ごたえがあります。
映画全体の1/3ぐらいはアリ―タのバトルアクションシーンで占めているのではないでしょうか。
こちらにそのメイキング映像があります。
実写の他の人物の中に自然に溶け込んでおり、この映画で最も見るべき点だったと思います。
恋愛と親子愛の物語は今イチ
アリ―タが戦士としての記憶を取り戻し、ヒューゴに恋心をいだきつつ成長していく姿がメインストーリーとして描かれています。
一方個人病院を営むハンター・ウォリアーであるイドは、亡くした娘の姿をアリ―タに重ね、実の娘のように愛情を注いでいる姿がメインストーリーと並行して展開していきます。
この映画が今一つブレーク仕切れていない点は、このプロットの今一つ感に由来するものだと思いました。
アリ―タ、ヒューゴ両キャラクターの恋愛に対する動機が薄いので、感情移入できません。
一方、イドの視点で見ても、アリ―タのことを心配している姿を描いているだけで、展開に特別の深みがありません。
ちょっともったいない気がしました。
人間とサイボークの境
アリ―タを含め頭(脳)や主要臓器以外の肉体は機械であるキャラクターがディストピア世界の中で多数登場します。
特にアリ―タは上述の通り表情やアクション、感情の動きが非常にリアルで、本物の人間と比べて何ら違和感がありません。
肉体のないキャラクターにこれまでも人間以上の愛情を注いできている僕たちにとって、こうした肉体がロボット化した姿というのはそのうち当たり前のとして受け入れられていくのだろうと思いました。
たった2時間の映画の前後でアリ―タの目の大きさの違和感が消えていることからも、僕たちの脳はそのうち自然なものと認識していくのではないでしょうか。
現代~未来を風刺した天空と下界の格差社会
本能だけではなく、脳の巨大な幻想空間を構築した人間にとって、こうしたヒエラルキーは避けれられないようです。
それが人間たらしめているわけですから。
しかし、アリ―タやヒューゴのようにそのヒエラルキーに甘んじているだけではない存在がいるのも人間です。
どちらの世界でどう生きるかは、各個人の選択にかかっているわけです。
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