正直不動産 2巻最新話までの感想〜永瀬の"ふわっ"が盛り上げる人間ドラマが面白い!
不動産会社 副課長の永瀬というやり手営業マンが主人公の漫画です。

不動産会社というとどうしてもダークな部分を想像してしまうのは私だけではないでしょう。
この漫画はそのダークな部分を、契約にまつわる多様な人間ドラマを介してコミカルに描きつつ、不動産業界特有の専門知識も学べるところが魅力になっています。
多様な人間ドラマとは、契約当事者である土地のオーナー、物件購入者とその家族、仲介する不動産会社のサラリーマン社会で起こる様々な欲望や駆け引きの絡み合いを意味しています。
コミカルさの要因としては、物は言いようとばかりに、自分に都合の悪いことは相手に告げずに微妙な言い回しでトップの営業成績をあげてきた永瀬の変貌があります。
変貌とは、ある日を境に空気を読んで嘘をつくことができなくなり、あたりかまわず常に口が勝手に本音語ってしまうようになることを指しています。
変貌の原因は、担当した更地物件にあった石碑を自ら破壊したことによる祟りでした。
何でも石碑には「願わず語らずの碑」という文字が彫られており、民間伝承の文献に「不遜な態度をとる者は祟られ、嘘をつくことができなくなると言い伝えられている」と記載されていることを発見するのです。
また、業界特有の専門知識を学べる要素として、中間省略登記、専属専任媒介契約、瑕疵担保特約期間などが問題となる取引が具体的エピソードとして描かれています。
エピソードごとに新たな物件に関わる人物が登場し、主人公の永瀬が自分の意思に反してぶっちゃけの本音や真実をさらけ出し、騒動を巻き起こす展開がこの漫画の基本パターンとなっています。
具体的には、永瀬と恋人のモデルとの破局、永瀬とそのライバルである営業の競争と助け合いの関係、永瀬が指導係を務める女性営業職員との関係、永瀬と上司更には社長との関係、永瀬と土地オーナーや物件購入者との関係などが描かれ、その度に永瀬は空気をぶち壊す発言をして騒動を次から次へと巻き起こすのです。
各人物のサブストーリーが次々と展開していくので読んでいて飽きません。
2巻13直-14直の「告知義務」というエピソードは、部長から同席を依頼された商業施設空き店舗の契約の話です。
新課長が見つけてきた買い手候補の飲食店経営者は、「おたくを信用しているから」と契約する気まんまんです。
永瀬は事前に買い手が1年以上見つかっていないこの店舗を下見して、図書館で新聞記事から情報を探っていました。
そしてこの経営者の前で、祟りからくる本音と理性的な営業マンとしての思いが葛藤しつつ、出た言葉は「この物件、以前、人が死んでます。」というもの。
永瀬は本心をぶちまけるシーンでは、予兆として「ふわっ」という擬音とともに思いが胸にこみ上げ、手で自分の口を押えるも制御できなくなり、周囲が愕然とするような言葉を淡々と話し出すという展開になります。
このパターンはもうドラえもんが4次元ポケットから道具を取り出すシーンのように、何度も何度も登場し、くせになっていきますw。
部長と飲食店経営者は当然ぶっとんでしまいます。なぜか新課長だけは冷静に受け止めます。。その訳も語られます。
ABCの三者が関与する売買のケースでAからCへ直接の移転登記を可能にする手法のことを中間省略登記というそうです。
法改正により、現在では第三者のために売買契約の手法を用いる登記などの手法を取った場合のみ適法との解説も記載されています。
このエピソードで永瀬は住宅物件の買い手探しで営業のライバル、桐山と争い、中間マージンの一部を自分の懐におさめようとした桐山の会社への背信行為をあばくのです。
こういった専門知識はストーリーに乗せて理解すると、飲み込みが早くなりますね。
多数あるうんちくマンガの効用です。
以上、3つの観点からこの「正直不動産」の魅力を紹介しました。
永瀬の本音の面白さはビジネスマンには共感度が高く、おすすめです。
※その後発売された3巻の感想はこちら。

不動産会社というとどうしてもダークな部分を想像してしまうのは私だけではないでしょう。
この漫画はそのダークな部分を、契約にまつわる多様な人間ドラマを介してコミカルに描きつつ、不動産業界特有の専門知識も学べるところが魅力になっています。
多様な人間ドラマとは、契約当事者である土地のオーナー、物件購入者とその家族、仲介する不動産会社のサラリーマン社会で起こる様々な欲望や駆け引きの絡み合いを意味しています。
コミカルさの要因としては、物は言いようとばかりに、自分に都合の悪いことは相手に告げずに微妙な言い回しでトップの営業成績をあげてきた永瀬の変貌があります。
変貌とは、ある日を境に空気を読んで嘘をつくことができなくなり、あたりかまわず常に口が勝手に本音語ってしまうようになることを指しています。
変貌の原因は、担当した更地物件にあった石碑を自ら破壊したことによる祟りでした。
何でも石碑には「願わず語らずの碑」という文字が彫られており、民間伝承の文献に「不遜な態度をとる者は祟られ、嘘をつくことができなくなると言い伝えられている」と記載されていることを発見するのです。
また、業界特有の専門知識を学べる要素として、中間省略登記、専属専任媒介契約、瑕疵担保特約期間などが問題となる取引が具体的エピソードとして描かれています。
多様な人間ドラマ
エピソードごとに新たな物件に関わる人物が登場し、主人公の永瀬が自分の意思に反してぶっちゃけの本音や真実をさらけ出し、騒動を巻き起こす展開がこの漫画の基本パターンとなっています。
具体的には、永瀬と恋人のモデルとの破局、永瀬とそのライバルである営業の競争と助け合いの関係、永瀬が指導係を務める女性営業職員との関係、永瀬と上司更には社長との関係、永瀬と土地オーナーや物件購入者との関係などが描かれ、その度に永瀬は空気をぶち壊す発言をして騒動を次から次へと巻き起こすのです。
各人物のサブストーリーが次々と展開していくので読んでいて飽きません。
コミカルな設定と描写
2巻13直-14直の「告知義務」というエピソードは、部長から同席を依頼された商業施設空き店舗の契約の話です。
新課長が見つけてきた買い手候補の飲食店経営者は、「おたくを信用しているから」と契約する気まんまんです。
永瀬は事前に買い手が1年以上見つかっていないこの店舗を下見して、図書館で新聞記事から情報を探っていました。
そしてこの経営者の前で、祟りからくる本音と理性的な営業マンとしての思いが葛藤しつつ、出た言葉は「この物件、以前、人が死んでます。」というもの。
永瀬は本心をぶちまけるシーンでは、予兆として「ふわっ」という擬音とともに思いが胸にこみ上げ、手で自分の口を押えるも制御できなくなり、周囲が愕然とするような言葉を淡々と話し出すという展開になります。
このパターンはもうドラえもんが4次元ポケットから道具を取り出すシーンのように、何度も何度も登場し、くせになっていきますw。
部長と飲食店経営者は当然ぶっとんでしまいます。なぜか新課長だけは冷静に受け止めます。。その訳も語られます。
不動産の世界を学べる~新・中間省略登記とは?
ABCの三者が関与する売買のケースでAからCへ直接の移転登記を可能にする手法のことを中間省略登記というそうです。
法改正により、現在では第三者のために売買契約の手法を用いる登記などの手法を取った場合のみ適法との解説も記載されています。
このエピソードで永瀬は住宅物件の買い手探しで営業のライバル、桐山と争い、中間マージンの一部を自分の懐におさめようとした桐山の会社への背信行為をあばくのです。
こういった専門知識はストーリーに乗せて理解すると、飲み込みが早くなりますね。
多数あるうんちくマンガの効用です。
最後に
以上、3つの観点からこの「正直不動産」の魅力を紹介しました。
永瀬の本音の面白さはビジネスマンには共感度が高く、おすすめです。
※その後発売された3巻の感想はこちら。
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