北北西に曇と往け 2巻の感想〜世界観の魅力に潜む二つのエピソードに注目
2018/3/15に単行本2巻が発売された「北北西に雲と往け」。

1巻後半では主人公、慧(けい)の弟で行方不明だった三知高が見つかり、叔父夫婦の死因をめぐるミステリー展開となっていました。(1巻のあらすじと感想はこちら)
しかしこの2巻ではその続きは一旦小休憩です。
代わって、日本からアイスランドを訪れた慧の友人、清とともにジムニーに乗ってめぐるアイスランドの魅力が繊細なタッチの絵で紹介されていきます 。
この漫画を読みながら、紹介されていくスポットをインスタグラムやYouTubeで見ていると、どんどんここを訪れてみたい気持ちになっていきます。
南国のオアシスもいいですが、このような北の凍てつくような大地は地球と人間という生命の根源を感じさせてくれます。
「死ぬまで一度は訪れてみたい」というよく聞くフレーズがまさにあてはまります。
作中、車の通り道を横切る羊の群れが描かれています。ちょうど同じ風景の動画がYouTubeにありましたw。
何でも野生のハーブや苔を食べて育つため、肉が軟らかくうまいと。
香ばしく焼けた骨付き肉を「ガブ!」と食べる慧の姿は食欲をそそります。
「富士すばるランド」や「那須どうぶつ王国」で食べたバーベキューの羊の肉を思い出しました。
調べてわかったのですが、先が尖がった独特の形はアイスランドの溶岩玄武岩の風景になぞらえた設計とのこと。
かなり独特ですね。
1945年に建設が開始されてから1986年に完成するまで、実に41年の歳月を要しただけあります。
手前の銅像はアイスランドの英雄、レイブル エイリクソンの像です。コロンブスが米大陸を発見(1492年)よりも500年ほど前にアメリカ大陸に到 達していたという人物です。
アイスランド国内で最も高い建物で70m以上あり、展望台からは下記のような絶景を味わうことができます。
このことも漫画で紹介されています。
この可愛い感じの同じ大きなの家が立ち並ぶ光景は、エーゲ海に浮かぶ島々と共通する趣を感じました。
個人的には新婚旅行を思い出しました。ああ、そんな日があったなあとw。
教会の中にはこのような壮大なパイプオルガンがあります。行く機会があれば聴いてみたくなりますね。
溶岩でできた広大な大地を駆け巡る強風。偏西風、北大西洋海流、火山からの地熱の影響で冬は緯度のわりに温暖な気候。低い軌道を描き、済んだ空気に差し込む強い太陽光。乾燥から水の蒸散を抑えるため裏向きに伸びる植物。
さながらストーリー仕立ての地理の教科書のようです。
慧と清は空港で再会をとげた後、夕日を受けて金色に輝くことから黄金の滝を意味する「グトルフォスの滝」を訪れます。
漫画では道路から滝の間近に至る道沿いの簡素な手すりも描かれていましたが、下記動画の通りでした。
アイスランドは雨が多く、氷河から流れ出した水が形造るこのような絶景の滝が豊富にあります。
また、雨が多いものの風も強いため、傘を使わず雨ガッパのフードをかぶってしのぐことも漫画の中で紹介されています。
20メートルの高さまで水が吹き上がる瞬間は息を飲みますね。吹き上げる前のエメラルドグリーンの水の色も凄いです。
この漫画で清がやっているように、誰しも動画や写真でシェアしたくなりますね。
何でも歴史をさかのぼると、吹き上げる時間間隔と水の高さはかなり変動してきているとのこと。
地熱で温められた地下水が水蒸気となって吹き上げる仕組みなので、当然日本の温泉近くでもありますね。
ただしスケールが違います。
火山からなる島なので当然温泉も豊富です。
しかし川の水と温泉が混じって流れてくるのは珍しい。
漫画で描かれているのはこちらのレイキャダルルの温泉っぽいですね。
オーロラというとノルウェーなどの北欧を思い浮かべます。
しかし調べてわかったことは、国の首都でもオーロラが見られるのはこのアイスランドだ
けということ。
おまけに緯度の割に寒くないとあって、実はオーロラ鑑賞に最も適した土地といえます。
あとは見られる確率4割という天候しだいですね。
このように2巻は彗が友人の清を連れてアイスランドの食べ物、街並み、自然を味わいつくすという世界観をフィーチャーした展開でした。
しかし、実は二つの注目すべき小さなエピソードが挿入されています。
一つは16話「親友」で、幼いころの彗と清の話です。
2巻冒頭で、空港にて再会し、ハグと固く握手を交わしていることから二人は強い絆で結ばれていることがうかがえますが、その背景となるサブスト ーリーになります。
簡単にいうと、パソコンをとられていじめられていた清を彗が助け、パソコンも取り戻してあげたという話です。
もう一つは17話「雲の湧く谷」です。
こちらは1巻の終盤で登場し、叔父の殺人を疑われている彗の弟、三知高が再び登場します。といってもほんの数ページだけ。
荒涼とした大地に張り巡らされた有刺鉄線をペンチでバチバチと切りながら歩き回り、最後にそのペンチを大自然の中に抛り捨て、寝そべって「兄さ んに会いたいな」とだけつぶやくというものです。
心中穏やかでない三知高の心の中がうかがえる描写です。
彗と清と三知高。
3巻ではこの3人の動向とからんで叔父の死の謎を追う展開が予想されます。
益々楽しみになってきました。
※その後発売された3巻の感想はこちら。

1巻後半では主人公、慧(けい)の弟で行方不明だった三知高が見つかり、叔父夫婦の死因をめぐるミステリー展開となっていました。(1巻のあらすじと感想はこちら)
しかしこの2巻ではその続きは一旦小休憩です。
代わって、日本からアイスランドを訪れた慧の友人、清とともにジムニーに乗ってめぐるアイスランドの魅力が繊細なタッチの絵で紹介されていきます 。
この漫画を読みながら、紹介されていくスポットをインスタグラムやYouTubeで見ていると、どんどんここを訪れてみたい気持ちになっていきます。
南国のオアシスもいいですが、このような北の凍てつくような大地は地球と人間という生命の根源を感じさせてくれます。
「死ぬまで一度は訪れてみたい」というよく聞くフレーズがまさにあてはまります。
道路を横断する羊の群れ
作中、車の通り道を横切る羊の群れが描かれています。ちょうど同じ風景の動画がYouTubeにありましたw。
何でも野生のハーブや苔を食べて育つため、肉が軟らかくうまいと。
香ばしく焼けた骨付き肉を「ガブ!」と食べる慧の姿は食欲をそそります。
「富士すばるランド」や「那須どうぶつ王国」で食べたバーベキューの羊の肉を思い出しました。
ハットルグリムス教会と展望台
調べてわかったのですが、先が尖がった独特の形はアイスランドの溶岩玄武岩の風景になぞらえた設計とのこと。
かなり独特ですね。
ドーンとそびえる圧倒的な存在感!アイスランドの『ハットルグリムス教会』 https://t.co/hUr0s055qm
— 旅時間 (@tabijikan_jp) 2018年3月31日
1945年に建設が開始されてから1986年に完成するまで、実に41年の歳月を要しただけあります。
手前の銅像はアイスランドの英雄、レイブル エイリクソンの像です。コロンブスが米大陸を発見(1492年)よりも500年ほど前にアメリカ大陸に到 達していたという人物です。
アイスランド国内で最も高い建物で70m以上あり、展望台からは下記のような絶景を味わうことができます。
このことも漫画で紹介されています。
ハットルグリムス教会の展望台から
— ぴろ@2018JGP解脱完了 (@Rin_Piro) 2017年10月10日
屋根の色使いが可愛ええ(*´ω`*)
そしてこんな首都の側に凄い地形の山肌が見えてアンマッチ感が凄い pic.twitter.com/HrBrIAew1r
この可愛い感じの同じ大きなの家が立ち並ぶ光景は、エーゲ海に浮かぶ島々と共通する趣を感じました。
個人的には新婚旅行を思い出しました。ああ、そんな日があったなあとw。
教会の中にはこのような壮大なパイプオルガンがあります。行く機会があれば聴いてみたくなりますね。
ハットルグリムス教会のパイプオルガンカッコよすぎる。何かの武器みたいだ。 pic.twitter.com/4nJAHNRHYV
— 久遠 (@____Quon____) 2018年1月19日
アイスランドの土地と気候
溶岩でできた広大な大地を駆け巡る強風。偏西風、北大西洋海流、火山からの地熱の影響で冬は緯度のわりに温暖な気候。低い軌道を描き、済んだ空気に差し込む強い太陽光。乾燥から水の蒸散を抑えるため裏向きに伸びる植物。
さながらストーリー仕立ての地理の教科書のようです。
生と死を感じさせる巨大な滝
慧と清は空港で再会をとげた後、夕日を受けて金色に輝くことから黄金の滝を意味する「グトルフォスの滝」を訪れます。
漫画では道路から滝の間近に至る道沿いの簡素な手すりも描かれていましたが、下記動画の通りでした。
アイスランドは雨が多く、氷河から流れ出した水が形造るこのような絶景の滝が豊富にあります。
また、雨が多いものの風も強いため、傘を使わず雨ガッパのフードをかぶってしのぐことも漫画の中で紹介されています。
地球の鼓動を目の当たりに〜ストロックル間欠泉
20メートルの高さまで水が吹き上がる瞬間は息を飲みますね。吹き上げる前のエメラルドグリーンの水の色も凄いです。
この漫画で清がやっているように、誰しも動画や写真でシェアしたくなりますね。
何でも歴史をさかのぼると、吹き上げる時間間隔と水の高さはかなり変動してきているとのこと。
地熱で温められた地下水が水蒸気となって吹き上げる仕組みなので、当然日本の温泉近くでもありますね。
ただしスケールが違います。
川の途中から湧き出す温泉
火山からなる島なので当然温泉も豊富です。
しかし川の水と温泉が混じって流れてくるのは珍しい。
漫画で描かれているのはこちらのレイキャダルルの温泉っぽいですね。
Fortunately, the vast majority of tourists in Iceland are great fun and follow the rules laid out by nature... for example, this fun-loving group celebrating Canada Day in the geothermal river at Reykjadalur! (Faces obfuscated to protect privacy) pic.twitter.com/3cY0EKniTz
— GeoSciTweeps: Ashley (@GeoSciTweeps) 2018年4月2日
締めは何といってもオーロラ!
オーロラというとノルウェーなどの北欧を思い浮かべます。
しかし調べてわかったことは、国の首都でもオーロラが見られるのはこのアイスランドだ
けということ。
おまけに緯度の割に寒くないとあって、実はオーロラ鑑賞に最も適した土地といえます。
あとは見られる確率4割という天候しだいですね。
スカフタフェットル国立公園のオーロラ - <アイスランド> pic.twitter.com/moKxZaiELJ
— 世界は美しい (@beautiful_imgs) 2013年5月29日
世界観描写中心の2巻で展開される2つのエピソードは今後どう影響していくか
このように2巻は彗が友人の清を連れてアイスランドの食べ物、街並み、自然を味わいつくすという世界観をフィーチャーした展開でした。
しかし、実は二つの注目すべき小さなエピソードが挿入されています。
一つは16話「親友」で、幼いころの彗と清の話です。
2巻冒頭で、空港にて再会し、ハグと固く握手を交わしていることから二人は強い絆で結ばれていることがうかがえますが、その背景となるサブスト ーリーになります。
簡単にいうと、パソコンをとられていじめられていた清を彗が助け、パソコンも取り戻してあげたという話です。
もう一つは17話「雲の湧く谷」です。
こちらは1巻の終盤で登場し、叔父の殺人を疑われている彗の弟、三知高が再び登場します。といってもほんの数ページだけ。
荒涼とした大地に張り巡らされた有刺鉄線をペンチでバチバチと切りながら歩き回り、最後にそのペンチを大自然の中に抛り捨て、寝そべって「兄さ んに会いたいな」とだけつぶやくというものです。
心中穏やかでない三知高の心の中がうかがえる描写です。
彗と清と三知高。
3巻ではこの3人の動向とからんで叔父の死の謎を追う展開が予想されます。
益々楽しみになってきました。
※その後発売された3巻の感想はこちら。
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