ボクと師匠の秘密工房の感想~道具を使った物づくりDIYの楽しみとうんちくを味わえる

作品の魅力
川沿いの空き地の一角に秘密の遊び場として、川原で拾った様々なガラクタ素材で物づくりに励む少年。
ある日いつものように学校帰りにこの遊び場に立ち寄ると、作ったばかりのベッドの上で見知らぬ女子高生が昼寝をしていた。
これがDIYが大好きな少年と女子高生の出会いであり、この漫画の物語の始まりとなります。
二人は拾ってきたゴミを使い、ハンモック、水鉄砲、ロケットストーブ、自転車スタンド、オイルランプなどの物づくりや自転車のパンク修理などに励みます。
漫画のタイトルの「師匠」とはこの工業高校に通う女子高生のことで、少年は年上でDYIの技術でも秀でる女子高生をこう呼び、二人で様々な物づくりに励んでいきます。
物づくりの材料集め、作り方、ノコギリなどの道具の使い方を学べることとともに、この二人の微エロを交えたやり取りがこの作品の魅力です。
DIYになぜ夢中になるのか
人は道具を巧みに使いこなす能力で動物とは大きな違いがあり、道具を巧みに使いこなすことに喜びを感じる生き物です。
道具を使って何かを創ること、それが何に使われようと、その過程そのものが遊びとして楽しみをもたらします。
作った物が実用的な物や愛するものであれば、達成感から喜びは倍増します。
しかも材料は拾ってきたガラクタですからコストもゼロです。得した気分にもなります。
実際に当事者として創るだけでなく読者としてもできる過程にワクワクします。
自分がほしいと思っていた物であれば、自分でも創ってみようと思い立つことにつながります。
DIY市場はどうなっている?
DIYというと、アメリカの方が先行しているイメージがありますが、日本市場でどうなのかと調べてみると、国内ホームセンターは1972年に第一号店オープンして以来、46 年間店舗数はずっと右肩上がりに成長し、2016年に4,710店舗、売上は3.9兆円にもなっていることがわかりました。(日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会調べ)

バブル崩壊、インターネットの普及などにより、ゲームセンター、カラオケ店、スーパーなどはいずれも店舗数が減少に転じていますが、ホームセンター店舗数は今に至るま で右肩上がりなのは驚きです。
不況で所得が減り、デジタルコンテンツが無料で簡単に手に入る時代だからこそ、ユニークな体験価値をもつDIYが成長しているのでしょう。
震災以降のエコやシェアといった価値観の浸透がDIY市場の成長を後押しすることにもつながっていると思います。
美しく自分で作ったオリジナリティの高いものはインスタグラムなどとも相性がいいですからね。
最近は「DIY女子」という言葉も一般的になってきました。
Googleトレンドでみると、ちょうど震災後の2012年以降、この「DIY女子」の検索数が顕著に増加しており、震災後の価値観の変化がみてとれます。
そんな時代性を背景として生まれてきたのがこの「ボクと師匠の秘密工房」という漫画作品なのだと思ったしだいです。
DIYに限らず、自己完結で何かを形づくる力はこれからの時代、ますます重要となっていきますね。
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