アニメ化も決まった京都寺町三条のホームズのコミカライズ〜爽やかで美しい風を味わう
京都本大賞の小説(既刊8巻)のコミカライズで今年夏にはアニメ化も予定されている作品。
つい先日京都に行ってきたこともあり、その余韻を楽しむ意味でも読んでみました。

魅力は以下の3点だと思いました。
1. 京都の美しい街並み、建築、風景。そこに重なる人の想い
例えば仁和寺(にんなじ)と御室桜(おむろざくら)です。
平安時代の建立から江戸時代の再建の歴史、建築模様の工夫、背の低い御室桜にまつわる話などが語られ、知的好奇心を刺激してくれます。
京都は過去3回ほど訪れていますが、僕はまだこのお寺には足を運んだことがないので、この漫画をきっかけに、仁和寺の公式サイトを訪れ、この寺にまつわる話を学ばせてもらいました。
こちらがその公式サイトにも掲載されている動画です。
日常の喧騒とは正に別世界ですね。
2.骨董品のビジュアルとそこに込められた人々の想い(作者、送り主、受け手)
父親から遺言として送られた桜柄の抹茶碗の鑑定を清貴に依頼する漫画家の息子が登場します。
観察眼の鋭い清貴はこの男の身体的特徴などからこの親子に何があったのかを次々に言い当てていきます。
このエピソードでのクライマックスは、生前は息子の漫画家としての仕事に否定的だった父親が、実は暖かい目で息子の仕事を見守っていてくれていたこと、そして今後の息子の仕事に大きな示唆となるメッセージをさりげなく抹茶碗に仕込んでいたことがわかったところです。
こういう回想をはさんで親から子、友人同士、あるいは夫婦・恋人間で隠された想いが明らかになっていく流れは泣かせるコンテンツの王道ですね。
3.若いイケメンと清楚な美女たちが心通わす人間ドラマ〜姉妹愛、嫉妬と謎解き
高校生女子3人の間に起こった嫉妬。美人で妬まれた姉をどうにかしてあげたい、赤字の家計の助けになりたい思う妹の香織。
健気なよくできた妹です。
一方の姉の佐織も昔は仲良かった友人に嫌がらせをされても耐え、斎王代の名誉も捨ててでも仲直りしたいと偽装工作を図ります。
見た目だけでなく、ピュアで美しい心をもつ姉妹に心を動かされます。
同時に怪文書の真実を、仮説をたてて細かな観察からさりげなく検証していくクールな清貴にも脱帽です。
ミステリーながら爽やかで美しい風を読み手の心に運んでくれる良作ですね。
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