「神様はじめました」から妖怪の起源をたどってみた!
「神様はじめました」と妖怪
娘がアニメ「神様はじめました」の 巴衛(ともえ)がたまらないといい、盛んにすすめるのでⅠ期13話を視聴してみた。
この作品も「夏目友人帳」と同様に少女漫画原作の妖怪もののラブコメ。
妖狐であるイケメンの巴衛と、主人公の女子高校生、奈々生とが徐々に距離を縮めていくところ、奈々生が土地神として成長していく姿、そして多様な妖怪キャラクターが登場することが魅力的な要素と感じる。
妖怪といえば、近年「妖怪ウォッチ」の社会現象化が記憶に新しいが、古くは「ゲゲゲの鬼太郎」から日本人に親しまれている存在だ。
本来怖い存在の妖怪がキャラクター化して日常に当たり前のように存在している。
妖怪とは
ところで、この「妖怪」とは何なのだろうかと問いをたて、調べてみると興味のつきないネタがあふれてくる。
調べていてまずたどりついたのが、こちらの 国際日本文化研究センターが手掛けたの「怪異・妖怪伝承データベース」
どんなデータベースかというと、「あいさつ」としてこう記されている。
データは、民俗学関係の雑誌と各県史・民俗編及び民俗誌に近い性格をもった随筆類から、体験談もしくは体験談の集積として形成されたと思われる伝承、すなわち「どこそこには妖怪が出る(と伝えられている)」という伝承を拾い集めています。しかしながら、昔話のように、明らかにフィクションと思われる話は除いてあります。昔話のなかの「怪異・妖怪」現象・存在については、このデータべースとは別途に作成する必要があるでしょう。
2007年5月現在で35,701件の妖怪が蓄積されている。
さて、妖怪とは何かであるが、このデータベースをつくった国際日本文化研究センター所長で妖怪学の第一人者の小松和彦氏によれば、人間が心の闇、恐怖心と距離をとり、対象を象徴化して生まれたものであるという。
その歴史は古く、古代神話に登場するヤマタノオロチにまで遡る。これはまさしく自然現象への人の畏怖の念から形づくられたものといえる。
それが現代のように、宗教的コンテキストから切り離され、娯楽の対象としてキャラクターとなり増殖していったのは、人々の合理的思考が発達した江戸時代中期からという。
妖怪の代表選手としてのキツネ

先ほどのデータベースの検索機能を使い、妖怪の呼称となっている動物などのトップ3をみてみると、キツネ(3,746事例)、テング(1,325事例)、カッパ(1,104事例)と、キツネが圧倒的に多いことがわかる。
「神様はじめました」の人気キャラクターである巴衛はまさにこのキツネの妖怪だ。
このキツネの起源をたどると興味深いことがわかる。
もともとキツネは農業神として、穀物を食い荒らすネズミを捕食すること、狐の色や尻尾の形が実った稲穂に似ていることで、稲荷神の使いに位置付けられ、奈良時代には文献に登場している。
平安時代初期に書かれた「日本霊異記」には、妻の正体としての狐が登場している。
今でも油揚げの入ったそばを「きつねそば」というが、この稲荷神には神酒・赤飯の他に稲荷寿司およびそれに使用される油揚げが供えられたことが由来である。
そんな背景をもつキツネは、長く農耕社会であった日本社会で身近な存在であるとともに、現実と異世界をつなぐ存在として人々の記憶に刻まれていったのだろう。
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