映画「ハドソン川の奇跡」の見所とメッセージ〜ネタバレ 

よい映画だった。
次の4点が語るべき点と感じた。
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秒単位での命の危機に面した中でのリアリティに富む緊迫感


撮影にあたり、イーストウッド監督は実際にエアバスの飛行機を購入し、ハリウッド近くの湖でこの映像を撮影したという。そして名優トムハンクスの表情豊かな演技。着水させるまでサリー機長の状況判断と、着水後、凍える寒さの中で今にも沈みそうな機体からの乗客の脱出劇は緊迫感マックスだ。

プロフェッショナリズムのあり方


「プロフェッショナル原論」によるところの5つの要件に照らしても、このサリー機長は間違いなくプロだ。

「高度な職能の保有」
実際のサリー機長は、何十年に及ぶ訓練と実践でこのような危機での対応をシミュレートしてきたという。だからこそ空港への管制塔からの迂回指示にも関わらず着水という選択が可能だったのであり、偶然による「奇跡」ではなかったのだ。

「特定のクライアントの問題解決」
離陸直後に二つのエンジンが停止するという状況での乗客155名の生命の危機という前例のない問題を適切な状況判断で乗り切り、更に国家運輸安全委員会からの判断ミスという追求に対しても盲点を指摘して乗り越えた。

「インディペンデントな立場」
管制塔からの空港への迂回指示に対して盲目的に従うのでなく、乗客の安全を最優先にするという自らの職能に基づいて適切な判断を行なったのだ。

「公益への奉仕」
自らの出世、組織の利益、金銭、情欲などを優先して道を踏み外してしまう弱さを持ち合わしているのも人間であるが、サリー機長は最後まで機長として乗客を安全に運ぶというミッションに忠実だった。

「厳しい掟の遵守」
着水後、機内が浸水してくる中で最後まで乗客が残っていないかを何度も確認、地上に降り立ってからも、救助された乗客のの人数を気にして確認を求めた。機長として何よりも優先すべきは乗客の安全だからだ。

追い詰められた人間の葛藤と支える人々との関係性の大事さ


プロフェッショナリズムを貫くサリー機長であるが弱さを持つ人の子でもある。国家運輸安全委員会の執拗な追求に合う中で、自らの判断が本当に正しかったのか苦悩する。そんな中、この映画では妻、副機長、酒場の人々が彼の心の支えになっていたように思える。

機械とデータ時代に潜むヒューマンエラーの怖さ


1秒をあらそう危機での判断、着水からの脱出劇、ヒーロー扱いから一転した責任追及と、緊張シーンが連続するが、最後の最後で機長自らのセリフが一気に緊張を緩和し、感動のカタルシスをもたらす。

データ上ではエンジンは完全に停止していなく、人を介した当時の状況を再現したフライトシミュレーションでは空港へ迂回できたはずだと。

ところがそのシミュレーションには人が判断に要する時間の概念が抜け落ち、パイロットは何度も操縦を練習した上での飛行シミュレーションだったのだ。

今後のAI時代ともなれば益々こういう状況が増えていく。
データ上から見えることの裏に隠れている真実を見落としてはならないのだ。



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著者 ”さぐりん”の紹介

十代の一人娘と子猫と暮らすという、レア人種のアラフィフ男子。 ユニークな遊び体験やコンテンツ作品の背景にある社会や人の本質について、感じ、考えたことを発信しています。

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