漫画「不能犯」がえぐる人間の愚かさ 

いやーエグい漫画だ。

主人公は、特定の他人に恨みをもって殺したいと思っている人の依頼を受け、殺しを行う謎の男、宇相吹正だ。

この漫画の特徴は、その殺し方とそこから暴かれる人間の醜さ、愚かさだ。そして、人間は思い込みが強く、脆い存在であることが、各話の殺人依頼の中から浮かび上がってくる構成となっている。

この宇相吹のユニークな殺し方とは、人を見つめたり、言葉をかけたり、身体にふれたりするだけで、一定の観念や考えを簡単に思い込ませられる能力だ。

20161027232458de5.jpeg

1巻は6話の構成で各話は短く完結したストーリーだが、宇相吹に洗脳されて殺人を犯す人間が別のまた洗脳された人間に裏をかかれ、自らのドス黒い欲望を暴かれて死に至るというカタルシスがもたらされるという工夫がなされている。

第9話の「課長の椅子」



例えば第9話の「課長の椅子」での話はこうだ。

会社の同期3人の中で成績トップの男に課長昇進の噂が立つ。その夜、この男が一人で酒を飲んでいるところに宇相吹が近づくと、面倒な管理職業務への不満を打ち明ける。

宇相吹は望み通りにしてやろうとお酒に暗示をかけ、男が毒を飲んだかのように思い込ませる。

男は病院に運ばれるが、大したことなくその後無事退院するも、その間に会社は健康面の不安から、課長職をこの男でななく、同期の別の男に提示したのだ。

愕然とする男は、宇相吹からの暗示により、同期のこの課長になった男を崖から突き落として殺してしまうのだ。だが、物語はここで終わらない。

実は3人の同期のうちに一人女性がおり、この女が実は最も出世願望が強く、宇相吹に依頼してこの殺人劇を仕組んでいたのだ。

この女に、同期の課長になった男を突き落とす瞬間を撮影され脅された男は、女を絞め殺そうした所を逮捕され、課長の椅子どころか、結局勾留所の粗末な椅子に収まるという展開だ。

次々と人の様々なドス黒い欲望と愚かさが明かされていく展開はかなりのインパクトだ。





関連記事


著者 ”さぐりん”の紹介

十代の一人娘と子猫と暮らすという、レア人種のアラフィフ男子。 ユニークな遊び体験やコンテンツ作品の背景にある社会や人の本質について、感じ、考えたことを発信しています。

こちらからフォロー、継続購読していただけたら、嬉しいです。


follow us in feedly

Comment

Add your comment