映画「レヴェナント: 蘇えりし者」から何を想うか 

人間の生を容赦なくふりまわす厳しい自然  


舞台となったアメリカ西部の森を包む雪、更に時に襲う吹雪とその寒さ、急角度の斜面を登らなくてはならない道の険しさ、道を阻む川、視界が見通せない中で突然姿を現す谷底、そして極め付けは爪で主人公を切りつけ、全体重でのしかかってくるグリズリーの恐ろしさ。
この自然の厳しさは予想できない過酷な現実が迎えうつ人生そのものだろう。人はこの現実から逃れることはできず、諦めてしまったらそこには死しかないのだ。

復讐にとりつかれた男、人間のしぶとさとその愚かさ


執念にとりつかれた男はしぶとい。この生きようとする意思の力こそ、人間が人生や社会で事を為すための原動力に他ならない。しかしこの原動力は時に道を見誤るもの。何故同じ土地で暮らす人間同士が殺し合わなければならないのか。そこには狭い範囲の同質のコミュニティ意外を敵としてみてしまう動物的本能が働いているのかもしれない。また、自分の身の安全や欲望を最優先させ、時には仲間を見捨てたり、裏切ったり、辱めてしまうのもまた人間なのだ。
しかし、人間は考える知性がある存在だ。視野を広げる想像力を活かして、友を助けることができるのも人間だ。憎しみの連鎖の中に社会の幸せにつながる解決策は存在しないのだ。

具現化した撮影技術とデカプリオの渾身の演技


上述した厳しい自然環境の中、様々な表情を見せる光と魅惑的な自然の構図を生み出すカメラワークは目をみはるものがある。そして何と言っても念願のアカデミー賞主演男優賞を受賞したデカプリオの演技だろう。身体をグリズリーにボロボロにされた上に、息子を仲間に殺され、自らも生き埋めにされて見捨てられたところからの復讐劇。時に濁流にのまれ滝を落ち、喉の傷を治すために自ら火で喉を焼く。飢えをしのぐために苔や生肉を食らう。他部族に襲われ、谷底に落下後、寒さを凌ぐために動物の腹わたをかき出し、自らの身体をその内に入れるという、想像を絶する体験。

静かにシーンを支える坂本龍一の音楽


最後に忘れてならないのは派手でないものの、不気味なトーンを基調としてミニマルな音で悲劇からの復讐劇を支える音楽も印象的であったことを付け加えたい。

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著者 ”さぐりん”の紹介

十代の一人娘と子猫と暮らすという、レア人種のアラフィフ男子。 ユニークな遊び体験やコンテンツ作品の背景にある社会や人の本質について、感じ、考えたことを発信しています。

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