【感想】みんなで辞めれば怖くない~自分だけで抱えず、相談しないとね

個人の時代だと言われつつも、人数構成比ではまだまだ圧倒的に雇われの会社勤めをしている人の方が多い日本社会。

経済が停滞し、企業の業績も芳しくないところが多い中、理不尽な境遇で苦しんでいる方も多いのではないかと推測します。

そんな方々がわが身のことのように共感でき、明日からの会社生活を見直すきっかけとなるマンガが本作品です。

みんなで辞めれば怖くない

初めて何かを選んだ気がした



第11話「選択」の最後に登場するこの一文が、本作品の主題です。


サラリーマン生活を送る入社3年目の若者、斎藤くんが上司に振り回されて精神的・肉体的に疲弊していく姿が第1話から展開していきます。

第1話「明日まで」では、上司と言葉の掛け違いから説教をされる斎藤くんの苦しむ姿が描かれています。

上司は明日の朝一の会議で使う資料を用意しておいてという意味だったところ、斎藤くんは明日の終日までと解釈していたのです。

ありますよねー、こういうの。

コミュニケーションは伝える側と受け取る側の両方の問題であることは自明ですが、会社の上司で自分の伝え方がよくなかったと言える人は、僕の経験上は1割程度といっていいでしょう。

大抵は「おまえ、人の話何聞いてるんだ!」と言われてしまいますね。

この理不尽な局面では斎藤くんの心に住む「ユイ」というランドセルを背負った女の子が現れ、論理的に正しい正論を言って斎藤くんを励ましてくれます。


第2話「ある言葉」では、「人間的に成長できないよ」と説教を垂れる上司に対して、今度は粗暴な性格の「タダシ」が斎藤くんの想いを代弁してくれます。

ふざんけんなよ!おまえ」という、怒鳴りたくなる時のあの心の声ですね。

この他にも考古学者の「スコット」、苦行僧の「サナディー」、野球少年の「タケル」という、斎藤くんの心の中に潜む多様な人格が局面に応じて登場します。

スコットは途方もない時間を厭わない人格、サナディーはとにかく我慢する人格、タケルは元気のいい挨拶で表面上取り繕う人格です。

この3人の人格を使っていると確実に病んでしまいそうです。

何かこう昭和の時代から我慢できず、上に逆らう奴はけしからんという風潮は根強いものがあります。

上司と部下という両方の立場を長年、いくつかの会社で経験してきた自分としては、リアリティ有り過ぎな展開なわけですよ。

会社だけでなく、親子関係もこれらのケースがあてはまります。

最終第12話は斎藤くんが会社を辞めて2年後の世界です。

斎藤くんの言葉がきっかけで先に退職した先輩と再会し、自分らしく生活している二人の生き生きとした姿が描かれるハッピーエンドとなります。

日本の場合、サラリーマンになる前の長い学生生活から、自分の頭で本質を考えるよりも暗記を中心とする受験勉強で思考停止状態になっているので、中々抜け出せない構造になっているんですよね。

それは自分自身の脳みそだけでなく、社会構造、周りの人の空気感すべてがそうさせていますから、なおさら太刀が悪いです。

このような状況を抜け出すために必要なことは、第一にきっかけなのでしょう。

客観的に自分がおかしい状態にいると、理解できることです。

その次は自分自身の行動です。

これが難しい。

なぜなら状況がトレードオフになっていて、人間の習性上、現状維持が最もリスクが少ないと感じてしまうからです。

自分だけで行動できないで悩んでしまう場合は、まっさきに誰かに相談することが大事ですね。

この作品の著者もそんな想いからこの作品を書いたのだと思うわけです。




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