どるから2巻の感想~格闘技の奥義を味わいつついじめ問題を考える

※1巻のあらすじ、感想はこちら

この2巻では、1巻で見せた自虐ネタ、お仕事漫画、男女入れ替わりもの、格闘家の生き様などの観点に代わって、いじめ格闘技の奥義アイドルとボディガードというテーマでエピソードが展開していきます。

これらのテーマの中で一番重いのがいじめですね。

いじめの対象となっている人物は、セイというなんと黒帯をもつ格闘技オタク。

親が離婚して母親役の姉、リエは黒帯の弟がいじめにあっていることが信じられません。

女子高生ケイに憑依している石井館長の問いかけからわかった真相はこうでした。

渋谷のゲーセンに友人(アツヤ)と二人で行ったときに5人組の不良に絡まれたと。

そのうちの一人が合気道の使い手で、黒帯のアツヤを「気」を使って指先だけで投げ倒したため、ビビッて逃げようとしたところを他の2人に捕まってしまったと言います。

そしてボコボコに殴られた姿を写真に撮られてしまい、その後恐喝にあっていたのです。


しかし真相はセイの友人アツヤと5人組がグルだったのです。

アツヤはセイの優等生っぽい態度が気に食わず、セイを裏切って5人組を抱き込んでいじめ行為を行っていました。


女子高生ケイに憑依している石井館長は作中、こう言っています。

今の子供のイジメは腕っぷしだけやなくもっと対照的な力関係いうか立ち回りや人脈 カネ 容姿 ハッタリとか オトナ社会を映すようないろんな要素で決まっていくんちゃうか?

どるから2巻より引用


現実社会に目を向けると、日本のいじめの認知件数はこちらの通り、小学校を中心に急増しています。

いじめ認知件数
出所:平成28 年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(速報値)について/文部科学省初等中等教育局児童生徒課 平成 29 年 10 月 26 日(木)(波線部分は件数の基準が変わった箇所)

低年齢層へのスマホの普及などでいじめが顕在化するケースが増加したことも影響しているようにも思えます。

情報技術が各段に進化し、歴史からの学びが増え、文明は高度化しているはずなのに、いじめは昔から存在し、今も減ることなくむしろ増加しているというこの現実があるわけです。

根本的に人間にとっていじめは快楽行為なんだと思います。

人間は社会的生き物なので、多層的な共通価値観の中で暮らすことで、安心欲求、自己承認欲求を満たしているわけです。

逆にいうと、そのコミュニティの価値観、ふるまい、身だしなみなどを乱す異質な者は敵と見なされ、自分たちを守るために排除しようという欲求が生じるのだと思います。

自分たちの安心を担保するためには異質な者の排除が必要となっていじめが起こり、いじめている時間は自分が優位な立場になり、コミュニティ内での安心欲求が満たされるので、脳には快楽物質が分泌される。

だからいじめはなくならないのでしょう。

かといっていじめが良い行いのはずもない。誰しもそれは冷静になればわかっていることです。


自分が帰属できるコミュニティは程度の差はあれ人に不可欠なものですが、妄信的にならないよう、複数のコミュニティに属して多様な考え方に接しながら、自分自身だけの固有性も失わないよう、軽やかに生きていきたいものです。



関連記事

Comments 0

Leave a reply