猫のお寺の知恩さんの感想~ノスタルジアだねえ

猫を飼っていることもあり手に取ってみた本作品。

猫のお寺の知恩さん

とりあえず2巻まで読んでみました。

とてもいいですねえ。この全体に漂うほんわかした雰囲気。

表紙の絵がそれをよく表しています。

大きな明確なストーリー展開があるわけではないのですが、このほんわかした雰囲気の中で小さなエピソードが連なり展開していく構成が作品世界観にマッチしていて読みやすいです。

その魅力を一言でいうとノスタルジアといえそうです。

幼馴染の知恩さんと源の関係性、お寺に住まう猫と犬、田舎の自然に囲まれた寺の風景、新入学した高校での学園生活。

これらすべてが心に懐かしい気持ちを想起させ、いつの間にか幸せな気分になります。


ノンスタルジアとは何か



昔も今も、ノスタルジアという言葉は紙面でちょくちょく見かけますね。

映画やテレビ、テーマパーク、ショッピングセンター、雑誌でも、昭和の原風景を感じさせるシーンに懐かしさを感じ、ほっとすることは多く、ノスタルジアは多数の人を惹きつける要素となっています。

このノスタルジアの感情を感じる要因として、その対象は今はない失われた世界であるということがいえますね。

時間だけ経過していてグラデーションで変化している世界だったら、人はおそらくそこに大きなノスタルジアの感情は抱かないでしょうから。

もう一つ、その失われた世界は自分の過去のアイデンティティを確認できる物語性をはらんでいるということがいえると思います。

自分の過去の歴史の中で、少なからずポジティブに振り返ることのできる時空間。

既に存在しない時空間なので、自分のアイデンティティを確認する過程で様々な個々人の妄想が交差していくわけです。

それが固有の物語を生み出し、人の心を惹きつけることにつながるのだと思います。


幼馴染の知恩さんと源の関係性にみるノスタルジア



おそらく本作品の最大の魅力となっている要素がノスタルジアのこの側面でしょうね。

幼馴染の男女が再開して同居生活を送ることになる。

ドキドキしない人はいないでしょう。

多くの人は心が純粋な頃に想いを寄せた近所の異性はいますからね。

この漫画ではそれが現実のものとなって目の前で展開するわけですから、男であれば自分の過去に重ね合わせながら源君の想いに共感してしまいます。

ほんわかした雰囲気の中で、ややセクシーな構図のコマが随所に登場します。

猫と犬に囲まれた田舎の寺での生活へのノスタルジア



寺に猫と犬は本当に合いますね。

うちでもそうですが、都会の犬や猫は室内飼いが多いので、この漫画のように廊下や縁側でくつろぐ猫や犬の姿には時空間的な断絶があるため、強烈なノスタルジアを感じますね。

この漫画を読んでいると数日間、田舎のお寺に泊まって生活してみたくなります。

僕の場合、田舎の自然が多い環境での虫とかも全然苦になりません。というよりも虫好きです。

幼い頃、神奈川県の自然が多い土地で生まれ育ち、身の回りに虫が沢山いたからでしょう。

はなれのトイレに深夜一人で恐る恐る行って、お化けにおびえるとかも、今の都会生活とは大きな断絶があるからこそ、強烈なノスタルジア感情を呼び起こしますね。

高校での学園新生活へのノスタルジア



小学校、中学校、高校と、幼き日々には黒歴史もつきものですが、仲間に囲まれて楽しく過ごせた日々も人それぞれ少なからずあります。

入学式にきて手をふる親にこっぱずかしい想いを感じたこと、同級生の美人の保護者の姿にクラス中で大騒ぎする様子、入学式での仲間との記念撮影、最初の部活決めのあたふた感など、懐かしい限りです。


時折挿入される源君視点での艶っぽい知恩さんの姿にドキッとしつつ、作品全体の世界観から醸し出されるノスタルジアが味わい深い良著ですね。

おすすめです!



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