AUTOMATON(オートマトン)の感想~登場人物に焦点をあててわかること

2018年5月に講談社から1巻が発売された、日本の近未来を舞台とするアメコミ風ロボットヒーローものといったテイストの作品です。

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1巻だけで多数のキャラクターが登場します。

このキャラクター一人一人に焦点をあてて読んでいくと、作者がこの作品を通して伝えたいことがわかる気がします。

AUTOMATONとなって活躍する、高校生主人公



テクノロジーが人間の暴力を増幅させて社会に様々な歪みをもたらしている中、精神転送技術により人体よりもやや大きめのロボットを操ることになる高校生の少年が活躍していくストーリーです。

彼は人間の善性の象徴のような存在といえるでしょう。

作品冒頭からそれがわかります。

犯罪歴のある5人と、善良な家族ある一人の人。両者とも殺傷装置に閉じ込められ、生命の危機が迫っている。

彼はそこで、どちらかの装置の停止ボタンを押すか、何もしないかという選択肢をつきつけられます。

彼がとった行動は、上記のどれでもなく、2つの機械を動かしている大元の歯車の間に自らの腕を挟んで止めるというものでした。

実際はこの時、既に彼の身体は意識を転送された人工細胞でした。

そして上記の選択肢の提示はAUTOMATONのパイロットになるためのテストだったのです。

テロ組織の人質になったフリージャーナリスト



AUTOMATONとなった少年の最初のミッションはテロ組織の人質の救出でした。

普通に考えると、慣れないロボット操作にとまどい、危ない目に合いながらもなんとか人質を救出するハッピーエンドが想定されます。

最後クラスター爆弾でふっとばされるものの、テロ組織で操られていた子供とともに人質を救出するわけですが、この人質のフリージャーナリストの人間性が最悪だったといオチでこのエピソードは幕を閉じるのです。

彼はただピューリッツァー賞(報道、文学、作曲に与えられる米国で最も権威ある賞)がほしかったのです。

本来の職責を忘れ、社会への迷惑を顧みずに自分の名誉心に突き動かされた行動だったというわけです。

爆発事故にあった海洋の石油リグからの人命救助で残された人



事故の報告を受けて学校からジェット機で急遽事故現場のメキシコ湾に向かい、難なく人命救助にあたったAUTOMATON。

しかしそこにはロボットに仕事を奪われ死ぬより、薬物摂取により不眠不休で働くことを選んだ労働者と、低コストの労働力を確保したい会社の管理者の合意が隠されていたのです。

愚かで暴走する人間と、AUTOMATON



名誉欲、金銭欲、自我を捨てた生存欲といったダークサイドに足を踏み入れ暴走する人間に対して、AUTOMATONの驚異的な身体能力とその優れた人間性が対照的に描かれています。

驚異的なAUTOMATONの能力とバトルアクション、様々な人間のダークサイドを描いた人間ドラマ、ロボットの活躍という近未来を舞台とした世界観が魅力といえる作品です。


1巻最後ではタコとロボットが合体したようなシヴァと呼ばれる新たなロボットが登場しており、2巻以降の展開が更に期待できます。



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