「家売るオンナ」が本当に売っているものとは? - 感想、ネタバレ 

「私の仕事は家を売ることです!」
この何度も登場する三軒家の印象的なセリフ。

確かに彼女は不動産屋として家を売り、課でトップの成績をおさめている。

この「家」とは何なのだろうか。彼女はなぜここまで家を売ることに執念を燃やしているのだろうか。

「家」とは、雨をしのぎ、食事や睡眠をとるための住居としての意味合いの他に、家制度のことを指しているのではないだろうか。

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家制度と家父長制


家制度とは、明治31年に制定された民法において規定された日本の家族制度であり、親族関係を有する者のうち更に狭い範囲の者を、戸主と
として一つの家に属させ、戸主に家の統率権限を与えていた制度である。

更に古くは江戸時代に起源をもつ、家父長制をもとにしている。

家父長制とは武士階級において、家長権(家族と家族員に対する統率権)が男性たる家父長に集中している家族の形態のことである。

家父長制家族では、一般的に長男が家産と家族員に対する統率権は絶対的な権威として表れ、家族員は人格的に恭順・服従する」と定義していたのである。

その後、家制度は日本国憲法の制定とともに廃止されたものの、日本人のメンタリティの中にまだまだ根をはっているように思える。

会社社会が男性中心で、お茶汲みは女性の仕事であり、諸外国に比べ管理職の女性が非常に少ない。

学校の部活動では上下関係が絶対であり、度々教師や先輩からの体罰問題がクローズアップされる。

中国では「尊老愛幼」という言葉があり、社会のルールとして、老人や幼い子供が優先されるが、日本では常に年長者が優先される。

また、「主人」「家内」「嫁」「婿」などの言葉は、主従関係がはっきりしていた「家制度」時代の言葉であるが、未だ使われている。

日本では、和の精神が非常に大事にされており、この和を保つために、犠牲を払ったり、協力したり、妥協したりすることが美徳とされるが、これも家制度に由来するのではないだろうか。

つまり、「家」とは、個人の心の自由と対立軸にある概念の側面をもっていると言えるのではないだろうか。

高校生の頃、事故で両親が亡くなり、家を売り払っても、五千万円の借金を相続せざるを得なかった三軒家にとって、家とは住居としての意味だけでなく、自分の青春時代を奪うことになった相続を含む家制度の意味合いがあるのではないだろうか。

家を売る意味


三軒家にとって「家を売る」とは、この家族や人々を縛りつけてきた様々なしがらみ、束縛からの精神的な解放を意味しているように思える。

例えば第2話では、引きこもりの息子に、親と同居しつつも隣の1LDKからの賃貸収入で親の死後も自由に暮らせる引きこもりの城を、第3話では、生活スタイルが全く異なる元恋人同士がお互いの価値観を壊すことなく同居できるフロアの分かれた家を、そして先日放送された第7話では、喧嘩し離婚までした老夫婦が離れて暮らすことで逆に愛情を取り戻す別々の家を提供したのだった。

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著者 ”さぐりん”の紹介

十代の一人娘と子猫と暮らすという、レア人種のアラフィフ男子。 ユニークな遊び体験やコンテンツ作品の背景にある社会や人の本質について、感じ、考えたことを発信しています。

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