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リウーを待ちながら 3巻 最終回までの感想〜理不尽な絶望はこの世の定め

2018年04月09日18:41  カテゴリ:マンガ
2018/3/23に単行本3巻が発売され完結した「リウーを待ちながら」。

2巻までのあらすじと考察はこちら

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1万人以上がペストに感染し、町が隔離され、特効薬もないまま、感染の拡大を防ぐしか手立てがないという絶望的状況。

淡々と絶望が深まり、希望が見えない中、懸命に手当に当たる医師たちの前で起こる不条理な出来事が印象に残ります。

特に以下の3つの出来事にはやるせなさを感じずにはいられませんでした。

母親が危篤の知らせに脱柵するも、到着前に死亡の知らせが



感染症が広がり、隔離領域から外に出ることを禁じられている中、母親が危篤との知らせを受けた医師の仁杉。

ルールで母のもとに行くことは禁止されてい
るとわかっていても足を止めることはできませんでした。

しかし、ルール違反と感染拡大のリスクをおこしてまで脱柵したのにも関わらず、向かう途中で母親死亡の電話が入り、失意のうちに結局病院に戻ることになってしまいます。

救命した赤ん坊の無意識の行動が自らの命の危機を招く



アパートの隣の部屋で咳き込む女性と泣き叫ぶ赤ん坊。

気が付くと赤ん坊の泣き声だけになり、心配した隣人の潤月(うづき)が部屋の中に入ってみると、母親は感染症から既に死亡、赤ん坊だけがベッドの上に。

手袋とマスクで感染予防をして赤ん坊を抱きかかえたはずが、急に動きだした赤ん坊の手が潤月のマスクに引っ掛かり、潤月は菌が充満する部屋の空気を吸い込んでします。

案の定、その後感染して隔離され、死の恐怖に直面します。

集団になると悪意が生まれやすい人間



感染者が広がる横走市脱走者リストが、氏名を識別できる状態でマスコミに流れてしまいます。

そのうちの一人の女性が住むアパートの前には野次馬が集まり、疫病研究所の人が検査のため訪れます。

女性は仕事がある中、隔離されることを拒んで検査を受けず、こう言います。

なんで私があんたらのためにこんな目にあわなきゃいけないの?・・・私はあんたらのために何もしない!! あんたらだって私のために何もしてくれなかった!!


リウーを待ちながら 3巻より引用


その後、この女性は部屋から逃げるように外出するも、マスコミに追いかけられてしまいます。

そして横断歩道の赤信号を待っているところを人混みに押され、ちょうど車道に走ってきたバスにひかれて命を落としてしまいます。

振り返って



これが現実です。

感染症に限らず、世の中は理不尽だらけです。

人間の心そのものが多面的で絶対的基準がないのですから、その集合体である社会、更には取り巻く自然環境が理不尽であることも致し方ないと思えてきます。

どんなことが起こっても慌てず、やるべきことをやる。

その結果が望むものでない時も諦めず、最後は起こることは受け止める心構えをもつ。


こんなメッセージが聞こえてきます。



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著者の紹介

十代の一人娘と子猫と暮らすという、レア人種のアラフィフ男子。 ユニークな遊び体験やコンテンツ作品の背景にある社会や人の本質について、感じ、考えたことを発信しています。

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