”選択のトキ”への感想~疎外感とともに、心を通わせる友人との出会いに想いをはせる漫画 

2017年9月号からジャンプスクエアに連載され、同年11月に単行本1巻が発売されたばかりの作品です。

群千キリさんという新人漫画家の処女作ということですが、かなり読み応えがあり心に響く作品でしたので、感想を書きます。

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人が心を通わず友人関係を築くきっかけは様々あると思いますが、自分の体験や人からの話をふまえると、結局以下の2パターンに集約されるのではないでしょうか。

  • 心が強くアップダウンする特別な体験を共有した(その共有時間・回数が長いほど絆が深くなる)
  • 集団内で孤独、疎外感を感じていた時に声をかけてくれた


この作品の主人公、光晴は幼馴染3人(男二人:光晴・源太と女一人:めぐみ)で長年過ごす中で友情を育んできました。

楽しいこともつらいことも、長年共有してきたからこそ友情が育まれてきたのでしょう。

それがいつしか自分以外の二人が男女の中になってしまうという、とてつもなくつらい経験に遭遇してしまいます。

その時に偶然遭遇したのトキという宇宙人。

自転車に乗っているところでぶつかるという偶然の出会いでしたが、その直後に幼馴染3人の関係が崩れだし、光晴の心に大きな穴があくタイミングだったということもあり、光晴とトキは急速に心の距離を縮めていきます。

そう、光晴は上記1.の体験を通した友人を失うとほぼ同じタイミングで2.のパターンで新たな友人を獲得したのです。

この1巻を読んで、心を通わすことのできる友人との出会いの大切さをひしひしと感じました。

単なる知り合いは簡単にできますが、お互いに信頼でき何でも話せる友人というのは恋人や結婚相手を見つけるよりも実は難しいことではないかと思います。

男女関係は出会うための定型的パターンがありますから。

声をかけて、食事などに誘う、連絡先をきく、告白をするなどです。どちらかがそういう行動にでると、相手は何を求められているのかすぐに察しがつきます。

嫌だったらそれとなく断ればいいし、興味があるならとりあえず会ってみて、継続していくべきか判断すればいい。

このパターンは年をとってもさほど変わらないです。

国が違っても、時間軸が変わったとしても、具体的な連絡方法(手紙→電話→LINEなど)や出かける場所の流行が変わるだけで、本質的には変わらないように思います。

お互いの年齢が離れていたとしても変わりません。

他の動物の種ごとに定型的な求愛行動(ミツバチの特徴的なダンスなど)があるように、人のDNAに刻まれたパターン化された行動といえそうです。

ところが同性同士の友人づくりはなかなか難しい側面があるように思います。

一つには、お互いが何を求めているのかを確認する定型的なパターンがないということです。
片方が友人関係になりたいと思っていたとしても、それをあからさまに相手に伝えることはおかしなふるまいとなってしまいます。距離感を間違えると、同性愛者と思われたり、何かの団体の勧誘なのかと疑われたりもします。

二つ目に、微妙に年齢が離れているときにどうふるまうのが適切か、つかみづらいことがあげられます。
同性同士で年齢が全く一緒のケースはまれです。いきなり年齢をきくわけにもいかないので、外見から判断して年齢が下に見える人が下手にふるまいがちです。そうするとどうしても上下関係が発生してしまい、純粋な対等な関係になりづらい面があります。年齢が10歳以上離れていた方が、明確に上下関係としてお互いの関係性を規定しやすくなりますが、それは対等な友情といえるものとは別の関係になってしまいます。

三つ目として社会的ステータスの問題があると思います。
年齢とともにやっかいになっていくのは社会的属性です。仕事と関係のない趣味の領域での出会いだったとしても、会話の中で自然と仕事の話になります。社会的地位があまりにかけ離れていると、同じ価値観を共有するのが難しくなり、友情にまで発展しにくくなります。

この三つの側面があるからこそ、同性同士の友人の多くは学生時代の同級生や同じ職場の人達となるわけです。

しかし年齢を重ねていき、職場が変わり、結婚などのライフステージの変化とともに友人の数が減っていく人が多いのではと推察します。

だからこそ、既存の友人関係をきちんと定期的にメンテナンスするとともに、新たな友人づくりが大切になっていくのだと思います。

困難だからといって、絶対に無理な話ではないのですから。

見方を変えると、年をとればとるほど、意識的に友人関係を広げる努力している人とそうでない人の間には大きな差がついてしまうということになります。

アラフィフの僕としては、ちょうどこの漫画を読む前の年初の活動目標として、新しく仲間で楽しめる趣味的活動を始めるということを掲げていました。


いいタイミングでこの漫画と出会えたと思います。



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著者の紹介

十代の一人娘と子猫と暮らすという、レア人種のアラフィフ男子。 ユニークな遊び体験やコンテンツ作品の背景にある社会や人の本質について、感じ、考えたことを発信しています。

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