夜の世界は美しい 2巻の読みどころ~敵キャラのサブストーリーの魅力 

2巻では主人公のサオリが海中という異世界で知恵と勇気を出して難局を乗り切り、自らの人生を振り返りつつ悟を探しだそうとする姿が描かれています。

同時にこの異世界でサオリが遭遇する二人の敵キャラがフォーカスされ、その背景や心理面が掘り下げられているところが大きな魅力となっています。

そこで敵キャラを中心に、読みどころをまとめてみたいと思います。(ネタバレ含む)

※一巻のあらすじと感想はこちら

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クラーケンが海中キャバクラで暴れていた理由


タコはもともと暗いところが好きな生き物。ところが隣についたキャバ嬢のカレルがキラキラとした派手なネックレスをしていたため、身体反応が生じていた。

もう一つ。彼にとって光眩しい宝石には特別な意味があった。昔、仲間と窃盗団をやっていた頃、盗んだ宝石を磨いていたことを宝石を独り占めにしようとしているものと誤解され、窃盗団を追放されてしまった過去があった。

これがトラウマとなり、本能としての身体反応と合わせて宝石の輝く光をみると、暴れてしまうことを繰り返していたのだ。

サオリがクラーケンを通して考えたこと


サオリはクラーケンが落としたバンダナを拾って渡してあげた。それはクラーケンが窃盗団時代に身に着けていた大事なものだった。追放されたとはいえ、昔の仲間との生活は楽しい思い出が沢山あったのだ。

サオリはクラーケンの過去の話を通して、自分は男性が苦手でまわりから蔑まれ逃げていたが、思い返すといいことも多々あったのではと振り返った。

そしてクラーケンには結果として気に入られて次回の指名を約束された。

敵と思えた相手をよく観察して対応することでピンチをチャンスに変えたのだ。そして他人の思い出を通して自分の過去を振り返り、自分自身も前向きに生きるきっかけととらえたのだ。

美女の顔を食らうジオの心の闇とは


キャバクラの美しい顔の女性を指名するジオ。顔の点数までつける悪趣味。指名された美女が行方不明になる。というのもこの男、美しい比率の顔に執着し、なんと切り取って自ら食べていたというグロテスクな趣向の持ち主だった。

それには訳があった。ジオはインテリア会社の社長として会社が大きくなるにつれ、幼馴染で一緒に会社を興した副社長のメトロという男にも強くあたってしまっていた。

それがジオの心を苦しめ、平静を保つために無駄なものとして自分の感情を殺したのだった。そしてあらゆる無駄なものをそぎ落とし美を追求していく中、美女の顔を食べれば美を極められるという妄想にはまってしまったのだ。

文字通り「面喰い男」として。

その後、サオリに心の闇を指摘され我に返ったジオだったが、食べてしまった顔を返すことができない後悔の念に再び心を蝕まれ、命を落としてしまう。

サオリがジオの理性を取り戻させたきっかけ


サオリはこの時も鋭い観察眼で、敵の心の中を推察したのだ。

インテリア会社の社長として美を追求しているはずが、近くにはボロボロのテーブルに丁寧に3枚のテーブルクロスがかけてあった。 美の基準に照らせば価値のない代物だ。

そのことをジオに指摘すると、それはメトロと会社を興す前、二人で一緒にデザインした思い出のテーブルだったことがわかった。

この指摘がジオが理性を取り戻すきっかけとなったのだ。


その後サオリ自身も、この水中キャバクラでの成果を出そうとがんばる中、本来の目的を見失いかけるが、マネージャーの匠吾に指摘されて改めて弟の悟を探しだすためにここで働いていることを認識する。

誰しも手段が目的化し、あらぬ方向へ心が向かってしまいがちなことの教訓話だ。

※その後発売された3巻以降の感想はこちら




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著者の紹介

十代の一人娘と子猫と暮らすという、レア人種のアラフィフ男子。 ユニークな遊び体験やコンテンツ作品の背景にある社会や人の本質について、感じ、考えたことを発信しています。

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