夢で見たあの子のために〜散りばめられた謎と愛を探す旅 

昨年最も印象的だった漫画、アニメ作品「僕だけがいない街」の著者、三部けい先生の新作。

こちらも少年少女がからむダークミステリーです。

ヤングエースにて連載中で、こちらで57pまで試し読みできます。

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ネタバレ含むあらすじ



13年前、五歳の時に両親を自宅で何者かに殺され、双子の兄弟を連れ去られた中條千里という少年がその謎を追う物語。

千里は、板倉という同級生から何者かに奪われた塾の授業料お金を取り戻すことに協力を求められる。取り返した分の半額を報酬として引き受ける中條。

実はお金ほしさに、千里が仲間に板倉の金を奪わせ、まんまと金をせしめていたのだった。

千里の児童養護施設時代からの知人で姉のような存在の恵南は、中條のことを心配し、注意する。

千里はグルになっている男達のもとへ足を運ぶと、ふいにテレビに映った男の腕の傷に愕然とする。あの幼い頃の両親殺害時に兄の一登を連れ去った犯人の傷と同じだったのだ。

千里はテレビに映っていた現場に向かい、男の手がかりを探る。男は職場を既に去っていたが、職場の人から居場所を聞き出し、再び後を追う。


千里と双子の一登は幼い頃からなぜか視覚や痛覚などの感覚を互いに同時に共有できる能力があった。片方が誰かに殴られると、その痛みは二人が同時に感じ、その時目に映った光景も脳内で共有されていた。

だから両親が殺されてから一月後に一登が腕に傷のある男に殺されたことも、千里はわかっていた。

千里が一登を殺した男の居場所を訪れると、そこには死体の血痕が残っていた。近所の人の話では焼身自殺のため一週間前に警察が訪れたという。

そこへ二人の謎の男たちが訪れ、スタンガンを使い千里を捉えようとする。

取っ組み合いとなる中、灯油があたりにこぼれると、千里はライターに火をつけ、二人の男を尋問する。

二人は金貸しで、金の回収のため男を追っていた。

そこへ突如、恵南が訪れ、火をつけようとする千里を止める。

恵南は千里に言う。

罪を犯したら報いは必ずある

これは亡き母親が恵南に残した言葉でもあった。

恵南は父親が犯罪を犯して逮捕された後、母親が自殺して孤児となり、千里と同じ児童擁護施設で育ったのだ。

自宅に帰った千里はその日のことを振り返る。

腕に傷のある犯人は生きているはず。死体の血痕は返り討ちにあった追っ手のものだ。

犯人の手掛かりを失ったかにみえたが、現場で拾ったパスケースの中をみると、そこには千里の母親の写真があった。

その後学校の屋上で再び母親の写真を見ようとパスケースを取り出した千里だったが、そこには写真がなかった。

なぜ?いつから?

そこへ再び同級生の板倉が現れ、先日のお礼ということで千里に封筒を渡す。

中には板倉の金を盗ませた仲間(瀬島)の写真。

仲間が襲われることを悟った千里はアジトに向かう。

案の定、暴行を受けていた。

仲間は5-6人のその筋の男達に襲われ、千里に渡すよう電話番号を書いた紙を預かっていた。

千里がそこに電話すると、板倉がでる。

はめたのは板倉の方だった。

外に出たところを今度は千里が襲われ、暴行された上に連れ去られてしまうのだった。

感想と考察



多数の謎が提示された一巻でしたね。

  • 一登は本当に死んでしまったのか。
  • 千里の両親はなぜ殺されたのか。
  • 一登を連れ去った腕に傷のある男と、板倉達は関係あるのか。
  • 瀬島はどこにいるのか。
  • 拾ったパスケースになぜ母親の写真があったのか。
  • 千里の祖父母は何か事件に関係しているのか。
  • 写真はいつ誰の手によってパスケースから奪われたのか。


これらの謎が相互に関係し、新たな謎が生まれていく展開が予想されます。

表面上は様々な事件とそれらにまつわる謎が目立つと思いますが、この作品の主題は、幼くして両親を失った二人の子供が愛をつかみ取ることにあると考えられます。

児童擁護施設育ちの二人はいま、過去のトラウマや憎しみに心が囚われています。


謎を追い求める中で二人がどう成長し、自分らしさや生き甲斐をつかみとるのか。

2巻以降も見守りたいと思います。



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著者の紹介

十代の一人娘と子猫と暮らすという、レア人種のアラフィフ男子。 ユニークな遊び体験やコンテンツ作品の背景にある社会や人の本質について、感じ、考えたことを発信しています。

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