”リウーを待ちながら”の2巻までのあらすじと考察〜君ならここでどう対応する? 

ペストを題材にした医療サスペンスですが、この作品の魅力はそこでの理不尽な出来事を通して、読者にどう考えるかを突きつけてくるところといえます。

201711140950330d3.jpg

ネタバレ含むあらすじ


富士山ふもとに位置する横走病院呼吸器内科の医師である玉木涼穂が主人公。

自然豊かで平和なこの横走市(静岡県)で、倒れている男性が見つかり、横走病院に運ばれてくる。呼吸が困難で吐血までしてしまう。

患者はAEDで何とか一命をとりとめたものの、また同じ症状の患者が運ばれてくる。

その後最初の患者はなぜか夜遅くに自衛隊病院に転院。

主治医の玉木には寝耳に水。上司の医師が自衛隊に言われて手続きしていた。

検査の結果、感染病の原因はペストだった。

一気に患者及び死者が指数的に広がっていく。

遺体は山の斜面にまとめて仮埋葬されていく。寺の住職も呼ばれた。

そしてついに首相から非常事態宣言が発令され、この横走市は感染拡大防止のため、交通封鎖されてしまうのだった。

玉木は命の選別は許されるのかと問いかける。

SNSでは様々な疑問がなげかけられる。封鎖は憲法の保障する移動の自由の侵害ではないのかと、デモも繰り広げられる。

このペスト感染は中央アジアに生息するタルバガンというリス科の動物由来であることが疑われる。

その生息地近隣の大震災地域に助けにいった救助隊が、他国の救助隊から感染した可能性が高い。

救助隊が危機の源になるという世界の理不尽さ

封鎖地域の境界線で両側に離ればなれになった男女が大声で愛を確認し合う。

封鎖した国に恨みを持っ男性の車が防衛省の入口に突っ込み、男性は死亡する。

首相の支持率も急降下。

病院で救助にあたる者のもとに、最愛の母親が大手術を行うとの電話。

封鎖地域から出ることは例外なく認められていない中、この男は仲間の手引きでこっそり脱柵をはかるのだった。

感想と考察


いわゆるパンデミック作品ですね。

この先、感染がどこまで広がり、国や病院はどのような対応をしていくのか、その過程のハラハラ感が魅力の一つです。

主人公の医師、玉木が自分の信念に基づき何を想い、どういう行動を起こしていくのかも注目ポイントです。

この作品のリウーとはカミュの小説「ペスト」からとったものでしょう。

そうすると、この著者が投げかけるメッセージも明らかになりますね。


ペスト感染を通して、世の中の不条理、正解のない世界でどう生きていくかを問いかけている作品といえるでしょう。

社会の規則で脱柵が禁じらている中、最愛の母を助けに隔離領域から出ていくことは悪なのか。

この先もこうした作品内での様々な事象を通してこうした世の中の善悪への問いかけが投げ込まれていくのではないかと思います。

それらを通して自分ならどうするのか、それはどういう価値観がベースになっているのだろうか。

そんな姿勢でこの作品を読んでいくと、今後の自分の思考を広げていけるように思います。



関連記事


著者 ”さぐりん”の紹介

十代の一人娘と子猫と暮らすという、レア人種のアラフィフ男子。 ユニークな遊び体験やコンテンツ作品の背景にある社会や人の本質について、感じ、考えたことを発信しています。

こちらからフォロー、継続購読していただけたら、嬉しいです。


follow us in feedly

Comment

Add your comment