”キングコング: 髑髏島の巨神”~東洋と西洋の絶妙なブレンドに浸る 

DVDで観ました。

一見、多様な巨大怪獣と人間が戦うシンプルなストーリーのB級映画かと思いきや、西洋人が日本人のアミ二ズム思想をきちんと理解し、それを実際に映画の自然風景や登場する怪獣の造形として初めてうまく描けた作品なのではと思いました。

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背中が藻に覆われた巨大水牛のようなスケル・バッファロー



この水牛、背中に藻が生え、完全に自然の中に溶け込んでおり、おまけにやたらおとなしい。

西洋人がこんな牛を描いたことに驚きました。

”強靭な肉体”を崇める文化圏では力の象徴として牛の角を強調する印象があったからです。

擬態化する巨大生物



長い脚を竹に擬態化し、上空から地面を動く動物を捕食する巨大蜘蛛のバンブー・スパイダー、倒木に擬態化する巨大昆虫、スポア・マンティスなど、自然環境に擬態化する節足動物が敵として登場するのにも驚きました。

キリスト教をはじめ、西洋の一神教の世界観に対して、自然万物の中に神が宿るとする日本人のベースにあるアミニズムの世界観で本作が描かれていることを感じさせます。

そしてその感性が、日本人からみても違和感が全くないのです。

最後まで神として君臨したキングコング



原作及び過去のリメイク作品でのキングコングは、見世物として人間社会に連れてこられるとともに、人間社会の欲望の象徴でもある”女”に心を開く存在でした。

しかし、この作品でのキングコングは過去のキングコング作品と同様に美女を助けますが、美女を見つめる目の奥にある感情は過去作品と違い、知性ある髑髏島の守護神として、命の再生と循環を司る女性へを尊ぶ視線として描かれているように感じました。

軍人ながら現地人に溶け込み、知恵を使って帰還したハンク・マーロウ



同じ米国軍人でありながら、キングコングに部下を多数殺され、復讐の鬼と化したサミュエル・L・ジャクソン演じるプレストン・パッカードの描かれ方とは対照的です。

映画の最後でハンクが何十年ぶりに無事本国に帰還し、家族と対面し、幸せをつかむシーンが描かれます。

自然と人、自然の中の神的存在である神と人、人と人の相互理解の大切さがメッセージとして浮かび上がります。

このあたりの世界観がジブリ作品に似ていると言われる理由の一つでしょう。

ラスボス、スカル・クローラーのクリーチャーデザイン



この作品と同じく、日本のサブカルチャー、特撮作品に影響を受けた海外の監督作品として、2013年公開の"パシフィック・リム"や2014年公開の"GODZILlA"が有名ですが、そのクリーチャーデザインは日本人からみるとメカニカルで、アミニズム思想の系譜からは違和感がありました。

しかし、今回の作品に同様するクリーチャー、特にラスボスのスカル・クローラーのデザインと動きは、特筆モノだと思いました。

最先端のCG技術を使いながらもメカニカルではなく、自然から生まれた怖さ、不気味さを備え、エヴァンゲリオンの使徒、サキエルに通じるDNAを確かに感じさせてくれます。

最後にキングコングに舌を抜かれて死亡するまでの死闘はとても見応えがありました。


戦争映画へのオマージュが東洋的世界観に違和感なく溶け込む



キングコングとヘリコプターが夕日をバックに映るカットは「地獄の黙示録」へのオマージュとすぐにわかりますが、それ以外のカット、音響、武器などの詳細にも戦争映画との関連性がありそうです。

戦争と武器、逞しい軍人と美女という構図は極めて西洋的な世界ですが、先の自然と調和した怪物たちの東洋的世界とともやな不思議と違和感なく一つの映像に収まっているのが見事です。

難しいことを考えず、激しいアクションを伴う冒険・怪獣映画として子供でも楽しめ、普遍的メッセージ性も高い。

往年の特撮ファンも唸らせる小ネタも満載。

オススメです。




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著者 ”さぐりん”の紹介

十代の一人娘と子猫と暮らすという、レア人種のアラフィフ男子。 ユニークな遊び体験やコンテンツ作品の背景にある社会や人の本質について、感じ、考えたことを発信しています。

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