「重版出来!」の最終話を終えて振り返る 

平均視聴率は8.02%。広告ビジネスとしては失敗だろう。
しかし5月のトルネドラマランキングでは第4位と健闘したようだ。また、Twitterでは名言あふれるセリフへの言及が相次いで盛り上がりを見せた。平均視聴率で上回っている「グッドパートナー」(10.7%)と検索数をGoogle Trendで比較すると、「重版出来!」の方が数倍規模で推移していた。

Gtrend

この結果をもとにこのドラマの良かった点と、失敗だった点を振り返ってみた。

良かった点

・漫画業界に関わる様々な人の人間模様が心に響く名ゼリフとともに描かれた点。
特に以下のセリフに魅了された。

営業部・岡部長の言葉
「俺たちが売っているのは本だが、相手にしているのは人だ
伝える努力を惜しむな」
→ものづくりをしていると、つい疎かになってしまうことがある。

釣りをしている謎の老人の言葉
「ええこと教えちゃる
運ばためられるぞ
世の中はな足して引いてゼロになるごとできとう
生まれたときに持っているもんに差があっても
札は同じ数だけ配られよる
ええことしたら運はたまる
悪いことしたらすぐに運は減りよる
人殺しげな一巻の終わりたい
運ば見方にすりゃ
何十倍も幸せはふくれ上がりよる
問題はどこで勝ちたいかや
自分がどがんなりたかか自分の頭で考えろ
考えて考えて吐くほど考えて見極めろ
運ば使いこなせ」
→この釣り人の風貌と口調と相まってインパクト絶大。
札を無駄に使っちゃまずいよね。自らを反省。

三蔵山先生の言葉
「作品を作るということは
自分の心のなかをのぞき続けるということだ
どんなに醜くてもなさけなくても
向き合わなくてはならない」
→アーティストよりのクリエイターは皆そう。中田 伯の「俺を抑圧するな」というセリフが浮かぶ。この漫画家の生い立ちに潜む苦悩の深さ。作品には自分自身の原体験が色濃く反映される。「ピーブ遷移」の単行本の装丁に描かれた怪物は、彼の幼少時の抑圧者を案じている。彼にとって漫画を描くという行為は自分自身の確認作業なのだろう。

五百旗頭敬副編集長の言葉
「別れた妻に言われたことがある。
『あなたはいつも理性的で・・それが哀しい』」
→人は感情の触れ合いがないと、関係性は続かない。

・今クールドラマは刑事・弁護士もの、不倫もの、恋愛ものなどが多い中、唯一人生を前向きな気持ちにさせてくれるドラマだった点。

・キャストが豪華だった点。


視聴率が伸びなかった要因

・漫画業界取り巻く様々な人の人間ドラマが描かれているものの、主人公と敵との明確な対立構造や、各話を横断する行動動機に基づくストーリー展開が希薄なため、カタルシスを感じるポイントがない。

・笑いを誘う要素がない。

・舞台が出版社の編集部ということで、主なテレビ視聴者である50代以上の関心をひくテーマでない。

・脇役の方が味のでる黒木華を主演にしたこと。ジャニーズ系主演ドラマとはここで大きな差がついてしまった。



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著者 ”さぐりん”の紹介

十代の一人娘と子猫と暮らすという、レア人種のアラフィフ男子。 ユニークな遊び体験やコンテンツ作品の背景にある社会や人の本質について、感じ、考えたことを発信しています。

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